私が代表を務める室内楽団体Ensemble Old Fashionによる、『近代フランス作曲家による弦楽四重奏曲』公演が無事終演しました。
今回の運営では、開催可否の段階から多々解決すべき問題を経て、メンバーと協力しながら細かく準備を詰めました。当日、厳密な感染対策のもと、お客様にお越し頂いて無事に終演でき、感慨深いものがありました。
この団体は、将来別の分野で羽ばたく音大生と一般大生が互いに学びあいながら、1つの良い音楽を追求することを目標としています。
限られた学生生活の中、演奏会を実現し、お客様と音楽を共有することがこの団体の第一の目標ですので、皆様のご理解のもと、演奏会を実現できたことが本当に嬉しかったです。
今回私が取り組んだフォーレの弦楽4重奏曲は病の中気力を振り絞って完成させた、人生最後の作品でした。フォーレは最晩年難聴により高音と低音が歪んで聞こえるという症状があったからか、この曲では4台の楽器は中音域で密になって溶け合っています。 本番では、内面が渦となって流れていくかのような音楽の中で、一瞬の光と影の美しさに魅了されながらその世界に没入していく感覚がありました。
今回プログラムで扱った3人の作曲家について、フランス音楽に精通した哲学者ジャンケレヴィッチは、フォーレは「自らの感覚に感情的な側面を 重ねて内在化」し、ドビュッシーは「事物について自らの感覚を示して」おり、 ラヴェルは客観性を更に増して「事物に直接密接 していく」表現をしていると述べています。
お客様からも、3人のアプローチの違いに驚きつつ、個性を楽しんで頂けたようで温かい感想を頂きました。
この団体を通して、多くの素敵な音楽仲間やお客様と出会えて嬉しく思います。
改めて、演奏会は人と人が繋がる場だということを実感しました。
今後もより良い演奏会運営に努めますので、Ensemble Old Fashionを宜しくお願い致します。