無言歌~音楽は語る~ 2025.5.1
- Kanon Kobayashi/ 小林香音
- 5月2日
- 読了時間: 3分

2025/5/11に、『無言歌 ~音楽は語る~』と題して、室内楽の演奏会を企画しています。
私の大好きな作曲家の一人がメンデルスゾーン、その中でももっとも好きな曲の一つが、『
無言歌集』です。
メンデルスゾーンは、「音楽は言葉よりも明確に特定の考えを表現し、どの人にも同じ感情を呼び覚ますことができる」という趣旨の言葉を手紙の中で記しています。意外にも思えるこの言葉ですが、仕事柄言葉と音楽と両方を行き来する生活をしていると、この言葉に共感を覚えるようになりました。言葉ではどうしてもこぼれ落ちてしまう感情や想いも、音楽は時に驚くほどまっすぐに伝えてくれると感じることがあります。
今回の演奏会では、「歌」を楽器で奏でることを主題にしています。言葉を超えたところで、奏者と聴いてくださる方のあいだに、感情が共有できる瞬間を生み出したいと思っています。歌詞のある曲では一部を朗読し、対談形式でその内容を掘り下げながら、音楽がどこまで詩の世界を広げてくれるのかを皆さまと一緒に探っていけたらと願っています。
この演奏会に出演する3人の奏者は、私がかつて所属し、学生代表を務めていたことがある芸術と科学の交差点を探る団体「Arts Meet Science(AMS)」でともに活動してきたおふたかたです。音楽だけでなく、哲学や科学といった視点も交えながら、たくさんの対話を重ねてきました。その過程で生まれた信頼や刺激は、今回の演奏にしっかりと息づいていると、準備の段階から感じています。
また、フライヤーのデザインは、AMSでご縁のあったアーティスト「たかすぎるな。」さんにお願いしました。演奏曲や演奏会の趣旨からインスピレーションを得て、世界観に寄り添ったとても素敵な作品を仕上げてくださいました。当日は、たかすぎるな。さんが演奏曲を表現して描いたアート作品も会場に並びます。音楽と絵画、それぞれの表現が響き合う場になるのではと、私自身とても楽しみにしています。
音楽が描き出すのは、感情や情景、そして心の奥の風景です。 演奏会が、聴いてくださる方一人ひとりの「心の旅」になればいいなと思います。
ぜひ、心の耳で音楽を感じにいらしてください。 *コンサートに寄せて
誰しも、心にさざなみがたつ時はあると思います。
私自身、どうしようもなく寂しく、やり場のない感情に押し流されそうになった時期がありました。そんな時、心をそっと救い、穏やかさを思い出させてくれたのが、メンデルスゾーン作曲の《無言歌集》でした。
「歌のない歌曲」という形が、どれほど雄弁に、そして深く多様な感情を語ってくれるのか。私は身をもって知りました。
弦楽器は人の声に近い音域を持ち、歌うように演奏することができます。そしてピアノも、寄り添いながら共に歌い、時には色合いを加えて全く異なる世界へと誘うことができます。
今回はピアノトリオの編成で、詩や歌を背景に持つ楽曲を選び、「歌」を楽器で奏でることをテーマにプログラムを組みました。
言葉では表しきれない感情を、音楽に託してお届けできればと思います。このひとときが、皆さまに安らぎをもたらし、心に彩りを添えることができれば、これ以上の喜びはありません。
小林香音
日時:2025年5月11日(日) 13:30開場/ 14:00開演
会場:渋谷美竹サロン
住所:〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1丁目12-8 ILA渋谷美竹ビル 2F
アクセス:東京メトロ 渋谷駅 B3出口から徒歩約3分
後援:Arts Meet Science、東京大学芸術創造連携研究機構
出演:小林香音(ヴァイオリン)、谷口賢記(チェロ)、若桑茉佑(ピアノ)
曲目:
・ブラームス:ソプラノとヴィオラとピアノのための2つの歌 Op.91(ピアノトリオ版)
・メンデルスゾーン:無言歌集より(ピアノトリオ版)
・メンデルスゾーン:歌の翼に
・R. シュトラウス:明日!
・メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第2番ハ短調 Op.66
チケット:大人¥4000、学生:¥2000 全席自由