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  • Kanon Kobayashi/ 小林香音

アルマ・マーラーを追う_2021.11.28

まほろば芸術ラボ主催『熱き恋は作曲家を鍛え育てる』第2回の、『風の花嫁・アルママーラー』にて演奏させて頂きました。

19世紀末~20世紀初頭のウィーンを舞台にした、一流の芸術家たちを取り巻く人間模様にどっぷり浸かった2時間でした。主役は交響曲・歌曲の大家のグスタフ・マーラーの妻の、アルマ・マーラー。アルマの華麗な男性遍歴を追いながら、関係ある人物たちの作品を実際に演奏するレクチャーコンサートでした。


前半は、G.マーラー、アルマ・マーラー、アルマやシェーンベルクが師事したツェムリンスキー、ベルクのそれぞれの歌曲をソプラノ・山本昌代先生が演奏されました。

個人的には、アルマ自身が作曲した歌曲のメロディの美しさや、和声の使い方に驚きました。 グスタフ・マーラーとの結婚によって、一度は作曲を禁じられてしまうアルマですが、夫婦関係に色々な波乱があった末に、ようやくグスタフに出版を許可されて、こうして世に残っていて聴くことができて良かった、としみじみ実感しておりました。



今回ナビゲーターを務められた、作曲家の中村滋延先生は、それぞれの人物像が伝わるエピソードを多く教えてくださったほか、この時代のウィーンを舞台にした音楽と美術の関係もご紹介くださいました。ーーこれも、アルマの男性遍歴が華麗であったからこそなのですが…


ココシュカ『風の花嫁』




後半私は、ベルクのヴァイオリン協奏曲の抜粋と、G.マーラーの交響曲第5番4楽章Adagettoをヴァイオリンとピアノの編曲で演奏しました。(ピアノ:山口美樹子先生)


アルマと建築家のグロピウスの間にできた子供のマノン・グロピウスを、ベルクは大変可愛がっていました。マノンが18歳の若さで死去した際に、その死を悼んで鎮魂曲として作曲したのが、このヴァイオリン協奏曲でした。副題は、『一人の天使の思い出のために』となっており、この天使こそマノンのことです。ベルク自身も作曲後に亡くなることになり、二重の意味での鎮魂歌になったのでした。



調性からの脱却を目指して十二音技法のエッセンスを用いながらも、マノンへの"感情"を表現するために、あえて調性音楽における基本的な和音を重ねる、というベルクの協奏曲の醍醐味を、より深く感じることができました。 (注:従来の調性音楽においては、和音進行を用いて予測的な期待を聴く人に持たせることで感情を表現する方法が用いられてきました。その一方、ベルクも属した新ウィーン楽派はそのような調性による進行からあえて脱却し、無調の音楽を目指しました) 最後は、G.マーラーの交響曲第5番4楽章Adagettoを演奏しました。G.マーラーとアルマが結婚した当初に書かれたこの第5番の中でも、この第4楽章は”愛”のテーマということで、特別な性格を持っています。


素晴らしい企画をしてくださいました、まほろば芸術ラボの先生方に深く感謝申し上げます。


上図:中村滋延先生のレクチャーの様子

下図:摂津響Saal



【まほろば芸術ラボ】℡0744-46-1038 info@mahorobalab.org

【摂津響Saal】 ℡080-3031-4311山口 https://settsukyosaal.com/ 

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